2025.11.11

  • Uターン

コーヒーの香りに包まれて
じっくり想い描く未来

いわま・あんな

岩間杏奈さん

釜石市で生まれ、大槌高校入学を機に大槌町へ。卒業後は県外の専門学校へ進み地元を離れるが、運転免許取得のため大槌町へ戻ったことをきっかけにUターン。コーヒー好きが高じて、2024年にAnna Coffeeを開業し、翌年には店舗をオープン。幼少期から絵を描くことも好きで、お店を彩る看板や商品のパッケージも自ら手掛ける。2026年3月には、山田町の道の駅ふなこし・いぐべすへ店舗を移転。

2025.11.11

  • Uターン

コーヒーの香りに包まれて
じっくり想い描く未来

いわま・あんな

岩間杏奈さん

釜石市で生まれ、大槌高校入学を機に大槌町へ。卒業後は県外の専門学校へ進み地元を離れるが、運転免許取得のため大槌町へ戻ったことをきっかけにUターン。コーヒー好きが高じて、2024年にAnna Coffeeを開業し、翌年には店舗をオープン。幼少期から絵を描くことも好きで、お店を彩る看板や商品のパッケージも自ら手掛ける。2026年3月には、山田町の道の駅ふなこし・いぐべすへ店舗を移転。

カウンターの奥で、マシンが蒸気を上げる音。コーヒーのにおいとともに香り立つのは、「大槌町の皆さんにおいしいコーヒーを楽しんでもらいたい」という思いです。店主の岩間杏奈さんはなぜ、大槌町で自家焙煎コーヒーのお店を始めようと思ったのか……。好きなことを仕事にして生きていくという決断の影には、杏奈さんのひたむきな努力と、時にその背中を押し、支え続けてきた家族の姿がありました。

珠玉の一杯と出会い、
おいしさと奥深さに気付く

大槌町唯一のショッピングモールであるシーサイドタウンマスト。フードコート「ますと元気村」の一角からは、今日も深く香ばしいコーヒーの香りが立ち上っていました。
2025年2月にオープンしたAnna Coffeeは、岩間杏奈さんが手掛ける自家焙煎コーヒーのお店。こだわりのコーヒーやエスプレッソを使ったメニューで、今日も大槌町に暮らす人たちに癒しと元気をお届けしています。

取材に伺ったこの日も、おいしいコーヒーを求めるお客さんが絶えません。
「人気なのは、やっぱりオリジナルブレンド。大槌の人においしいと思ってもらえるよう、親しみやすい味と飲みやすさを重視して作りました。リピーターさんもだんだん増えてきて、中には『もうインスタントコーヒーには戻れない』と言ってくれる人もいて。こだわりや思いが伝わっているようでうれしいです」と、ほほ笑む杏奈さん。その穏やかなお人柄と笑顔もまた、お店の魅力の一つです。

もともとカフェ巡りが趣味だったそうですが、コーヒーのおいしさや魅力に気付いたのは20代前半。なんと、大槌町にUターンした後のことでした。
「実は、昔はブラックコーヒーが飲めなかったんです。でも、盛岡市のとあるコーヒー屋さんで飲んだ一杯が人生を変えたと言うか。『ブラックコーヒーって、こんなにおいしいの?!』って、衝撃をうけたんです」。
以来、自宅でもコーヒーを楽しむようになった杏奈さんは、その奥深さにすっかり夢中に。コーヒーについて一から学び、気付けば、ネットで取り寄せた生のコーヒー豆を自宅で焙煎するようになっていました。「今では自分のお店を持って、お客さんから『杏奈さんのお陰で、コーヒーをおいしいと思うようになった』と言ってもらえるまでになりました」と、当時を懐かしみます。

せっかくの機会なので、自宅でおいしいコーヒーを淹れるコツを伺ってみました。杏奈さんはほんの少し声を弾ませて「やはり“蒸らし”ですね」と、淀みなく話します。コーヒー豆は焙煎すると炭酸ガスが発生するため、“蒸らし”の工程を経てガスを抜くことで、香ばしさだけではない豆本来の風味が楽しめるのだとか。
「ハンドドリップで市販の豆を使う場合、沸騰直後ではなく92~93℃ぐらいのお湯を使います。挽いた豆が浸かるぐらい回し入れて、30秒ほど蒸らして……。あとは通常通り、数回に分けて淹れる。これだけで味が変わってくると思います」。
大槌町唯一のショッピングモールであるシーサイドタウンマスト。フードコート「ますと元気村」の一角からは、今日も深く香ばしいコーヒーの香りが立ち上っていました。
2025年2月にオープンしたAnna Coffeeは、岩間杏奈さんが手掛ける自家焙煎コーヒーのお店。こだわりのコーヒーやエスプレッソを使ったメニューで、今日も大槌町に暮らす人たちに癒しと元気をお届けしています。

取材に伺ったこの日も、おいしいコーヒーを求めるお客さんが絶えません。
「人気なのは、やっぱりオリジナルブレンド。大槌の人においしいと思ってもらえるよう、親しみやすい味と飲みやすさを重視して作りました。リピーターさんもだんだん増えてきて、中には『もうインスタントコーヒーには戻れない』と言ってくれる人もいて。こだわりや思いが伝わっているようでうれしいです」と、ほほ笑む杏奈さん。その穏やかなお人柄と笑顔もまた、お店の魅力の一つです。

もともとカフェ巡りが趣味だったそうですが、コーヒーのおいしさや魅力に気付いたのは20代前半。なんと、大槌町にUターンした後のことでした。
「実は、昔はブラックコーヒーが飲めなかったんです。でも、盛岡市のとあるコーヒー屋さんで飲んだ一杯が人生を変えたと言うか。『ブラックコーヒーって、こんなにおいしいの?!』って、衝撃をうけたんです」。
以来、自宅でもコーヒーを楽しむようになった杏奈さんは、その奥深さにすっかり夢中に。コーヒーについて一から学び、気付けば、ネットで取り寄せた生のコーヒー豆を自宅で焙煎するようになっていました。「今では自分のお店を持って、お客さんから『杏奈さんのお陰で、コーヒーをおいしいと思うようになった』と言ってもらえるまでになりました」と、当時を懐かしみます。

せっかくの機会なので、自宅でおいしいコーヒーを淹れるコツを伺ってみました。杏奈さんはほんの少し声を弾ませて「やはり“蒸らし”ですね」と、淀みなく話します。コーヒー豆は焙煎すると炭酸ガスが発生するため、“蒸らし”の工程を経てガスを抜くことで、香ばしさだけではない豆本来の風味が楽しめるのだとか。
「ハンドドリップで市販の豆を使う場合、沸騰直後ではなく92~93℃ぐらいのお湯を使います。挽いた豆が浸かるぐらい回し入れて、30秒ほど蒸らして……。あとは通常通り、数回に分けて淹れる。これだけで味が変わってくると思います」。

家族の後押しで一念発起
大好きなコーヒーを仕事に

お隣・釜石市で生まれ、大槌高校への進学を機に大槌町で暮らし始めた杏奈さん。卒業後は、宮城県の専門学校へ進学しました。運転免許取得のため大槌町に戻り、自動車学校に通いながら親戚のケーキ屋さんで働き始めました。一時的な滞在のつもりでしたが、続いて保育補助の仕事が見つかり、やがて旦那さんと出会い結婚。「自然とUターンしてしまった」のだとか。

出産と育児のため仕事を離れていた時期に、杏奈さんは改めて「自分の“好き”を仕事にすること」について考え始めました。
大好きなコーヒーのことや、カフェの店員さんに憧れていたことが頭に浮かびましたが、家族のことを考えるとリスクや課題の多い道です。しかし、そんな杏奈さんの背中を押してくれたのもまた、家族でした。
「思い切って相談してみると、夫も母も『やってみたら?』と言ってくれたんです。大槌町の皆さんに、おいしいコーヒーをお届けしたい、楽しんでもらいたいという思いで開業を決意しました」。

一念発起した杏奈さんは、2024年にAnna Coffeeを開業。手回し式の焙煎機とともに、コーヒー豆の手売りからスタートを切りました。初めての出店は、“おしゃっち”こと大槌町文化交流センターで開催されたイベント。長机にパイプ椅子という簡素なものでしたが、お客さんの声はあたたかく、杏奈さんは確かな手ごたえを感じたそうです。やがて、大槌町のコーヒー好きたちの間で話題となり、その評判が広がっていきました。“おしゃっち”常設の物販コーナーなど、商品の販売先も自ら開拓していく中で、翌年には念願の店舗をオープン。同時に、自宅の庭のプレハブにフジローヤルR101という新たな焙煎機を設置しました。「小まめに焙煎し、鮮度のよい商品をお届けできるように」と、杏奈さん自ら選んだこだわりの焙煎機です。また、店舗にはエスプレッソマシーンを導入し、カフェラテなどのエスプレッソを使用したメニューを充実。クリームソーダや自家製レモネードソーダなどのソフトドリンクもあり、友人同士や家族みんなで癒しの一杯を楽しめるよう工夫を凝らしています。

そんな努力が実を結び、大槌町観光交流協会が運営する特産品通販サイトへの掲載にも漕ぎ着けることが出来ました。町外・県外の人にもその味と香りをお届けできるようになった今でも、杏奈さんは「大槌町の皆さんにおいしいコーヒーを楽しんでもらいたい」という原点を大切にし続けています。
お隣・釜石市で生まれ、大槌高校への進学を機に大槌町で暮らし始めた杏奈さん。卒業後は、宮城県の専門学校へ進学しました。運転免許取得のため大槌町に戻り、自動車学校に通いながら親戚のケーキ屋さんで働き始めました。一時的な滞在のつもりでしたが、続いて保育補助の仕事が見つかり、やがて旦那さんと出会い結婚。「自然とUターンしてしまった」のだとか。

出産と育児のため仕事を離れていた時期に、杏奈さんは改めて「自分の“好き”を仕事にすること」について考え始めました。
大好きなコーヒーのことや、カフェの店員さんに憧れていたことが頭に浮かびましたが、家族のことを考えるとリスクや課題の多い道です。しかし、そんな杏奈さんの背中を押してくれたのもまた、家族でした。
「思い切って相談してみると、夫も母も『やってみたら?』と言ってくれたんです。大槌町の皆さんに、おいしいコーヒーをお届けしたい、楽しんでもらいたいという思いで開業を決意しました」。

一念発起した杏奈さんは、2024年にAnna Coffeeを開業。手回し式の焙煎機とともに、コーヒー豆の手売りからスタートを切りました。初めての出店は、“おしゃっち”こと大槌町文化交流センターで開催されたイベント。長机にパイプ椅子という簡素なものでしたが、お客さんの声はあたたかく、杏奈さんは確かな手ごたえを感じたそうです。やがて、大槌町のコーヒー好きたちの間で話題となり、その評判が広がっていきました。“おしゃっち”常設の物販コーナーなど、商品の販売先も自ら開拓していく中で、翌年には念願の店舗をオープン。同時に、自宅の庭のプレハブにフジローヤルR101という新たな焙煎機を設置しました。「小まめに焙煎し、鮮度のよい商品をお届けできるように」と、杏奈さん自ら選んだこだわりの焙煎機です。また、店舗にはエスプレッソマシーンを導入し、カフェラテなどのエスプレッソを使用したメニューを充実。クリームソーダや自家製レモネードソーダなどのソフトドリンクもあり、友人同士や家族みんなで癒しの一杯を楽しめるよう工夫を凝らしています。

そんな努力が実を結び、大槌町観光交流協会が運営する特産品通販サイトへの掲載にも漕ぎ着けることが出来ました。町外・県外の人にもその味と香りをお届けできるようになった今でも、杏奈さんは「大槌町の皆さんにおいしいコーヒーを楽しんでもらいたい」という原点を大切にし続けています。

お店と家族とともに
次なる夢へ

自分の“好き”を――コーヒーを仕事にしたい。そう考え始めた当時、まだ生まれたばかりの赤ちゃんだった息子さんも、今では2歳を迎え、わんぱく盛りです。育児に仕事に、目まぐるしい日々を過ごす杏奈さんですが、サポートする家族もすっかり盤石の体制。
杏奈さんと一緒にお店を切り盛りするのは、接客業経験のある弟さん。イベントで町内外へ出店する際には、旦那さんがピンチヒッターとして活躍中。開業を後押ししてくれたお母さんも、子育ての先輩として心強い味方です。
また、大槌町の支援制度や補助事業にも助けられているといいます。
「Anna Coffeeを開業するときには、大槌町起業人材育成支援補助金を活用しました。子育てに関する支援は、他の地域より手厚いかもしれません。小中一貫教育校の大槌学園もあり、子育てしやすい町だと感じています」。
改めて大槌町の魅力について伺うと、「もちろん人それぞれですが、やはり田舎ならではの人、風景、食文化でしょうか」とにっこり笑いました。

杏奈さんの次なる夢は、Anna Coffeeを広めていくこと。「町内外のイベントへの出店を続けて、もっと色々な場所に行ってみたい」と、目を輝かせます。
「お店やコーヒーを通して、大槌町のことを知ってもらう機会でもあると思っています。わたしのエピソードが『自分にも起業できるかも』というきっかけや、移住を考えている人の後押しになったら嬉しいです。そうして、大槌町に色々なお店が増えていって、若者が集まる場所が生まれて……。地域行事やイベントがあるときだけ賑わうのではなく、何気ない日常の中に活気があるような――本当の意味での賑わいがある町になってほしいです」。
この町ですくすくと成長していく息子さんの未来にも思いを馳せて、杏奈さんは今日もじっくりと豆を煎り、こだわりのコーヒーとともに店頭に立ちます。
(2025年9月取材)
自分の“好き”を――コーヒーを仕事にしたい。そう考え始めた当時、まだ生まれたばかりの赤ちゃんだった息子さんも、今では2歳を迎え、わんぱく盛りです。育児に仕事に、目まぐるしい日々を過ごす杏奈さんですが、サポートする家族もすっかり盤石の体制。
杏奈さんと一緒にお店を切り盛りするのは、接客業経験のある弟さん。イベントで町内外へ出店する際には、旦那さんがピンチヒッターとして活躍中。開業を後押ししてくれたお母さんも、子育ての先輩として心強い味方です。
また、大槌町の支援制度や補助事業にも助けられているといいます。
「Anna Coffeeを開業するときには、大槌町起業人材育成支援補助金を活用しました。子育てに関する支援は、他の地域より手厚いかもしれません。小中一貫教育校の大槌学園もあり、子育てしやすい町だと感じています」。
改めて大槌町の魅力について伺うと、「もちろん人それぞれですが、やはり田舎ならではの人、風景、食文化でしょうか」とにっこり笑いました。

杏奈さんの次なる夢は、Anna Coffeeを広めていくこと。「町内外のイベントへの出店を続けて、もっと色々な場所に行ってみたい」と、目を輝かせます。
「お店やコーヒーを通して、大槌町のことを知ってもらう機会でもあると思っています。わたしのエピソードが『自分にも起業できるかも』というきっかけや、移住を考えている人の後押しになったら嬉しいです。そうして、大槌町に色々なお店が増えていって、若者が集まる場所が生まれて……。地域行事やイベントがあるときだけ賑わうのではなく、何気ない日常の中に活気があるような――本当の意味での賑わいがある町になってほしいです」。
この町ですくすくと成長していく息子さんの未来にも思いを馳せて、杏奈さんは今日もじっくりと豆を煎り、こだわりのコーヒーとともに店頭に立ちます。
(2025年9月取材)

取材、記事:横濱千尋

写真:石川貴子

この記事をシェアする

運営:一般社団法人 おらが大槌夢広場 / 大槌町移住定住事務局

岩手県上閉伊郡大槌町小鎚27-3-4 シーサイドタウンマスト2F
otsuchiiju@gmail.com|080-8162-8516

©2022 KOKOKARAOTSUCHI

IターンUターン大槌育ちちおこ事業者地域活動
すべて見る

presented by