2025.8.7

  • 地域活動

町民と本とを笑顔でつなぐ
みんなの居場所

大槌町立図書館

大槌町立図書館 2018年におしゃっちに開館。以前の図書館は東日本大震災で全壊し、約5万冊の蔵書を失ったが、世界中からの支援を受けて、現在は約7万2000冊を所蔵。うち約3万冊が貸出可能な開架図書。乳児相談の機会を利用し生後4カ月児を対象としたブックスタートなどにも取り組む。

2025.8.7

  • 地域活動

町民と本とを笑顔でつなぐ
みんなの居場所

大槌町立図書館

大槌町立図書館 2018年におしゃっちに開館。以前の図書館は東日本大震災で全壊し、約5万冊の蔵書を失ったが、世界中からの支援を受けて、現在は約7万2000冊を所蔵。うち約3万冊が貸出可能な開架図書。乳児相談の機会を利用し生後4カ月児を対象としたブックスタートなどにも取り組む。

大槌町文化交流センター(通称おしゃっち)の3階に上がると、木のぬくもりと本の匂い、そしてカウンターの中にいるスタッフの人たちがつくりだすあたたかい雰囲気に包まれます。ここ大槌町立図書館は、本好きの町民、新聞チェックが日課のお年寄り、受験勉強に励む高校生、絵本を選ぶ親子連れ……さまざまな人たちの大切な居場所。2018年の開館以来、スタッフたちの手で丁寧に育てられています。

木のぬくもりあふれる図書館 

「重い本を所蔵する図書館が木造の建物の最上階にあるのは珍しいんですよ」そう言って本棚をぐるりと見回すのは、開設前から計画に携わってきた大槌町職員の岡野さん。上席係長としてスタッフたちから頼りにされる存在です。

大槌町産の木材をふんだんに使ったアーチ状の梁が印象的な町立図書館。入り口近くには、定期的にさまざまなテーマの本を集めた企画展と親子で読める絵本のコーナー。その奥に新聞や雑誌を自由に閲覧できるスペース。さらに奥の壁際にはさまざまな分野の書籍を収めた本棚が並びます。

企画展や絵本コーナーに並べる本の選定や装飾、本の貸し出しや手入れ……。町民の大切な財産である本や資料を管理する6人は、時おり顔を出す大槌訛りが心地よい朗らかで気さくな面々です。

図書館がこのおしゃっち3階に開館したのは2018年6月のこと。2011年の東日本大震災以前は、ほぼ同じ場所に建っていた小さな2階建てのビルが図書館でした。「銀行だった古い建物で、1階のカウンターに小学生が来てその日の出来事を話してくれたのを思い出しますね」と当時勤務した経験のある紺野さんは振り返ります。

図書館は津波で被災し、蔵書も流されてしまいましたが、全国や世界中の人たちからの支援を受けて翌年、高台の公民館に「城山図書室」がオープンしました。山間部の仮設住宅で暮らす被災者のため、復興支援の移動図書館車輌を活用し、町内各地の仮設住宅に出張して本を届けてきました。
「重い本を所蔵する図書館が木造の建物の最上階にあるのは珍しいんですよ」そう言って本棚をぐるりと見回すのは、開設前から計画に携わってきた大槌町職員の岡野さん。上席係長としてスタッフたちから頼りにされる存在です。

大槌町産の木材をふんだんに使ったアーチ状の梁が印象的な町立図書館。入り口近くには、定期的にさまざまなテーマの本を集めた企画展と親子で読める絵本のコーナー。その奥に新聞や雑誌を自由に閲覧できるスペース。さらに奥の壁際にはさまざまな分野の書籍を収めた本棚が並びます。

企画展や絵本コーナーに並べる本の選定や装飾、本の貸し出しや手入れ……。町民の大切な財産である本や資料を管理する6人は、時おり顔を出す大槌訛りが心地よい朗らかで気さくな面々です。

図書館がこのおしゃっち3階に開館したのは2018年6月のこと。2011年の東日本大震災以前は、ほぼ同じ場所に建っていた小さな2階建てのビルが図書館でした。「銀行だった古い建物で、1階のカウンターに小学生が来てその日の出来事を話してくれたのを思い出しますね」と当時勤務した経験のある紺野さんは振り返ります。

図書館は津波で被災し、蔵書も流されてしまいましたが、全国や世界中の人たちからの支援を受けて翌年、高台の公民館に「城山図書室」がオープンしました。山間部の仮設住宅で暮らす被災者のため、復興支援の移動図書館車輌を活用し、町内各地の仮設住宅に出張して本を届けてきました。

「オープンな図書館に」
企画展は自由に企画

津波で大切な本や資料を失った町だからこそ、図書館は安全な最上階にしようーー。
復興のための計画策定が進む中、図書館の再建について岡野さんや同僚の町職員らが議論し、町のシンボルになるおしゃっちの3階につくることになりました。「古い銀行だった時よりも、どんな人でも立ち寄りやすいオープンな図書館にしたかった」と岡野さん。

その想いの通り、天井が高く明るい空間に。「さまざまな人たちが興味を持って足を運ぶきっかけに」と企画展には特に力を入れていて、5人のスタッフが毎回交替で知恵を絞る企画展は、どれも斬新な切り口で、楽しみにしているファンも多いとか。「5人の個性を活かし、それぞれの感性で自由に企画しています。自由にさせてくれるのは、岡野さんだからこそだと思います」とスタッフの1人の菅原さん。

2025年6月の企画展は「縁は異なもの味なもの」をテーマに、歴史や風習に関する本や文芸書、絵本がずらり。“ジューンブライド”をコンセプトに、人の縁に注目して企画を考えたという勝山さん。純白のウェディングドレスを連想させるレースを使い、自作の切り絵をあしらって、どこかちょっと不思議な世界を作り出しました。
企画展のほか、ワゴンを使ったミニ企画コーナーでは、著名な作家の追悼展示や芥川賞・直木賞といった有名な文学賞受賞作の展示、町内でツキノワグマが相次いで出没した時期には熊の本を集めた企画をしたり。その時どきに町の内外で話題になっていることを取り上げるなど、こちらもバラエティ豊かです。
津波で大切な本や資料を失った町だからこそ、図書館は安全な最上階にしようーー。
復興のための計画策定が進む中、図書館の再建について岡野さんや同僚の町職員らが議論し、町のシンボルになるおしゃっちの3階につくることになりました。「古い銀行だった時よりも、どんな人でも立ち寄りやすいオープンな図書館にしたかった」と岡野さん。

その想いの通り、天井が高く明るい空間に。「さまざまな人たちが興味を持って足を運ぶきっかけに」と企画展には特に力を入れていて、5人のスタッフが毎回交替で知恵を絞る企画展は、どれも斬新な切り口で、楽しみにしているファンも多いとか。「5人の個性を活かし、それぞれの感性で自由に企画しています。自由にさせてくれるのは、岡野さんだからこそだと思います」とスタッフの1人の菅原さん。

2025年6月の企画展は「縁は異なもの味なもの」をテーマに、歴史や風習に関する本や文芸書、絵本がずらり。“ジューンブライド”をコンセプトに、人の縁に注目して企画を考えたという勝山さん。純白のウェディングドレスを連想させるレースを使い、自作の切り絵をあしらって、どこかちょっと不思議な世界を作り出しました。
企画展のほか、ワゴンを使ったミニ企画コーナーでは、著名な作家の追悼展示や芥川賞・直木賞といった有名な文学賞受賞作の展示、町内でツキノワグマが相次いで出没した時期には熊の本を集めた企画をしたり。その時どきに町の内外で話題になっていることを取り上げるなど、こちらもバラエティ豊かです。

若い世代に読書習慣を
地域に根ざした図書館に

町内だけではなく、近隣の市や町からも頻繁に本を借りに来る利用者がいる大槌町立図書館ですが、スタッフは「もっと大槌の中高生に本を読んでほしい」と口を揃えます。保育園に通う年代の子どもは親と一緒に本を借りに来ますが、小学校6年間を経て中高生になると、勉強の場としては利用しても、本を借りていく生徒は少ないのだそう。

そこで中高生に読書を広げるため2024年から企画しているのが、「みんなの推し本」の活動。町内の中高生に、同世代におすすめしたい本を、文やイラストで紹介してもらい、図書館やおしゃっちの1階に展示しました。また、冊子にまとめたものを町内の学校や書店に配布する予定です。「推し本を図書館に所蔵して、足を運んでもらうきっかけになれば」と岡野さん。紺野さんは「みんなが AI を使っていく時代だからこそ、AIに的確な指示を出すためにも読書で語彙力を高めてほしい」と語ります。

もちろん読書習慣が大切なのは、中高生に限ったことではありません。大槌町立図書館では、仮設住宅がなくなってからも、離れた地域の住民に本を届けるため、町内各地の公民館に文庫を設置して貸し出せるようにしています。小さな孫を連れたお年寄りが絵本を借りに来るなど、各地域で活用されています。

定期的に工作教室を開催し、まずは子どもたちに図書館を知ってもらう取り組みも。これは、ボランティアで図書館の運営を手伝ってくれていた男性が始めたものでしたが、その遺志を継いで今はスタッフが企画をしています。

「これからも地域の人たちに愛される地域に根ざした図書館として活動していきたい」。開館から時が流れても、スタッフの想いは変わりません。

(2025年6月取材)
町内だけではなく、近隣の市や町からも頻繁に本を借りに来る利用者がいる大槌町立図書館ですが、スタッフは「もっと大槌の中高生に本を読んでほしい」と口を揃えます。保育園に通う年代の子どもは親と一緒に本を借りに来ますが、小学校6年間を経て中高生になると、勉強の場としては利用しても、本を借りていく生徒は少ないのだそう。

そこで中高生に読書を広げるため2024年から企画しているのが、「みんなの推し本」の活動。町内の中高生に、同世代におすすめしたい本を、文やイラストで紹介してもらい、図書館やおしゃっちの1階に展示しました。また、冊子にまとめたものを町内の学校や書店に配布する予定です。「推し本を図書館に所蔵して、足を運んでもらうきっかけになれば」と岡野さん。紺野さんは「みんなが AI を使っていく時代だからこそ、AIに的確な指示を出すためにも読書で語彙力を高めてほしい」と語ります。

もちろん読書習慣が大切なのは、中高生に限ったことではありません。大槌町立図書館では、仮設住宅がなくなってからも、離れた地域の住民に本を届けるため、町内各地の公民館に文庫を設置して貸し出せるようにしています。小さな孫を連れたお年寄りが絵本を借りに来るなど、各地域で活用されています。

定期的に工作教室を開催し、まずは子どもたちに図書館を知ってもらう取り組みも。これは、ボランティアで図書館の運営を手伝ってくれていた男性が始めたものでしたが、その遺志を継いで今はスタッフが企画をしています。

「これからも地域の人たちに愛される地域に根ざした図書館として活動していきたい」。開館から時が流れても、スタッフの想いは変わりません。

(2025年6月取材)

取材、記事:手塚さや香

写真:石川貴子

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